映画『プリデスティネーション』は、一度観ただけでは到底理解できない複雑なタイムパラドックスと、深遠なテーマが凝縮されたSF映画の金字塔です。「ジョン」「ジェーン」「バーテンダー」「フィズルボマー」……この物語に登場する主要人物たちは、果たして別人なのでしょうか?それとも、すべてが繋がった同一人物の、異なる時間軸での姿なのでしょうか?
この記事を読めば、その不可思議な謎がすべて解き明かされ、作品の真の魅力と衝撃の結末の深い意味を理解できるはずです。一度観た方も、これから観る方も、ぜひ最後までお付き合いください。
映画『プリデスティネーション』とは?作品概要
SF映画の金字塔として名高い『プリデスティネーション』の基本的な情報をご紹介します。
- 監督:マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ
- 原作:ロバート・A・ハインライン『輪廻の蛇』
- 公開年:2014年
- 主演:イーサン・ホーク、サラ・スヌーク
- ジャンル:SF、サスペンス、タイムトラベル
【ネタバレなし】映画『プリデスティネーション』あらすじ
作品をまだ観ていない方のために、ネタバレなしで物語の導入部分をご紹介します。
未来のテロリスト「フィズルボマー」を追う、ある時間局のエージェントがいました。彼は任務中に顔に重傷を負い、再建手術を受けながらも、バーテンダーとしてひっそりと隠れていました。そんな彼の前に、自らの奇妙な半生を語り始める男「ジョン」が現れます。
ジョンは、かつて自分を妊娠させ、人生を狂わせた「謎の男」への復讐を誓っていました。バーテンダーは、そんなジョンに、彼の過去へと飛ぶ機会を与えるのですが……。果たして、彼らの運命はどこへ向かうのでしょうか?そして、フィズルボマーの行方は――。
【ネタバレ解説】主要登場人物とタイムラインの全貌
ここからは、ジョン、ジェーン、そしてバーテンダーとフィズルボマーの関係を、詳細なタイムラインと共に深掘りしていきます。複雑に絡み合う彼らの運命を整理し、物語の真実を明らかにしましょう。
ジェーンの誕生から壮絶な半生
「俺が少女だった頃……」というジョンの言葉から始まる、悲劇のヒロイン「ジェーン」の物語。彼女の人生こそが、この物語すべての始まりでした。
- 1945年9月13日:自動保護施設(孤児院)の戸口に捨てられ、「ジェーン」と名付けられます。
- 孤独な幼少期:養子になることもなく、自分のルーツに疑問を抱きながら育ちます。この頃から、他の女の子との違い、性別の違和感を覚えるようになります。
- 宇宙飛行士の夢:高い知性と身体能力を持ち、特に数学と科学の分野で才能を発揮。宇宙飛行士を目指し、エリート養成機関「スペースコープ」の試験を受けますが、喧嘩っ早い性格が災いし不合格となります。
- 謎の男との出会い:マナー教室に通っていた頃、一人の男と運命的な出会いを果たし、深く恋に落ちます。しかし、妊娠が発覚すると、その男は音信不通になってしまいます。
- 出産と性転換:出産時、ジェーンの体には「二組の性器」が備わっているという特異体質であることが判明。分娩時の大量出血により子宮を摘出せざるを得なくなり、医師によって男性器を再建する手術を受けます。これにより、ジェーンは肉体的に男性となり、後に「ジョン」と名乗るようになります。
- 娘の誘拐:生まれたばかりの娘を新生児室から何者かに誘拐されてしまいます。
ジョン、バーテンダー、そして過去の自分との再会
男性として生きることを余儀なくされたジョンが、バーテンダーと出会い、自身の過去へと導かれる過程を追います。この出会いが、さらなる時間旅行の扉を開くことになるのです。
- 作家「未婚の母」として:男になったジョンは、自らの壮絶な経験を元に「未婚の母」というペンネームで告白話を書き、生活の糧を得ます。この頃、自分を妊娠させ、娘を奪った「謎の男」への激しい憎悪を抱き、復讐を誓っていました。
- バーテンダーとの出会い:あるバーで、顔に傷を負った謎のバーテンダーと出会います。ジョンはバーテンダーに、自分の奇妙な半生を包み隠さず語り、復讐の念を打ち明けます。
- タイムトラベル:バーテンダーはジョンに「時空変換キット」というタイムトラベル装置を与え、過去へ飛ぶ機会を与えます。ジョンは1963年のクリーブランドへ飛び、マナー教室に通う若き日の自分、つまりジェーンと出会い、恋に落ち、妊娠させます。
娘の誘拐と「フィズルボマー」の正体
悲劇は繰り返されるのか?娘の行方と、世界を震撼させたテロリストの真の姿に迫ります。
この物語の最大の衝撃は、すべてが「同一人物」の異なる時間軸での姿であったという事実です。ここで、主要人物たちの複雑な関係性を表で整理してみましょう。
| 時期 | 出来事(ジェーンとして) | 出来事(ジョンとして) | 出来事(バーテンダーとして) |
|---|---|---|---|
| 1945年 | 孤児院の戸口に捨てられる(ジェーン誕生) | ジェーンの娘を誘拐し、孤児院に捨てる | |
| 幼少期〜思春期 | 性別の違和感を抱え、孤独に育つ。宇宙飛行士を目指す。 | ||
| 1963年 | マナー教室に通う。謎の男(ジョン)と出会い、恋に落ちる。妊娠。 | 過去へタイムトラベルし、ジェーンと出会う。 | ジョンを過去へ送り出す。 |
| 1964年 | 出産。性転換手術で男性(ジョン)になる。娘を誘拐される。 | 新生児室から娘を誘拐する。 | |
| 1970年代 | 作家「未婚の母」として成功。復讐を誓う。 | 時間局エージェントとしてフィズルボマーを追う。ジョンをスカウト。 | |
| 1980年代 | 時間局を退職。フィズルボマーとなる。 | ||
| 1990年代 | フィズルボマーとしてテロ活動を行う。年老いた自分(フィズルボマー)を殺害する。 |
- 娘の行方:バーテンダーは、生まれたばかりのジェーンの娘を新生児室から誘拐し、時間旅行させて1945年の孤児院の戸口に捨てる……そう、これがジェーン自身でした。娘は、過去のジェーンそのものだったのです。
- ジョンからバーテンダーへ:ジョンは時間局エージェントとなり、バーテンダー(未来の自分)の後を継ぎます。彼はフィズルボマーを追う任務に就きます。
- フィズルボマーの正体:バーテンダーが長年追い続けていたテロリスト「フィズルボマー」の正体は、時間局を辞めた年老いたバーテンダー自身でした。彼は、歴史上の大惨事を未然に防ぐため、あるいは歪んだ正義感から、時間局の規定を破って爆弾テロを繰り返していたのです。
結局、彼らは全員、ジェーンという一人の人間が、時間の流れの中で性別を変え、姿を変え、役割を変えながら、自身の過去と未来を創造し続けていたという、壮大なタイムパラドックスの渦中にいたことが明らかになります。
【徹底考察】『プリデスティネーション』が描く「ウロボロス」としての宿命
この映画の核心は、まさに「ウロボロス」の概念に集約されます。なぜ登場人物たちは、まるで蛇が自分の尾を食べるように、自身の起源と終焉を創り出す宿命を背負っているのでしょうか。
- ウロボロスとは: 蛇が自身の尾を食べる姿を描いたシンボルで、「始まりと終わりがない」「無限」「永劫回帰」といった意味を持ちます。『プリデスティネーション』では、主人公の人生そのものがこのウロボロスを体現していると言えるでしょう。
- 自己言及的な存在: ジェーンはジョンとバーテンダーによって生み出され、ジョンはジェーンの産んだ子であり、バーテンダーはジョンの未来の姿である。フィズルボマーもまた、年老いたバーテンダー自身。すべての存在が、互いを創り出す原因であり結果であるという、完璧なループ構造を形成しています。
「俺が君を作り、君が俺を作った。矛盾が起きているように見えるよな。だが何も変わってないぞ」
というバーテンダーのセリフが、この自己言及的な関係性を象徴しています。
- 親殺しのパラドックスの回避: タイムトラベルSFでよく問題となる「親殺しのパラドックス」(過去に戻って親を殺せば、自分が存在しなくなるため、過去に戻る行為自体が不可能になる)が、この映画では「自分が自分の親である」という形で回避されています。まさにバーテンダーがジョンに語った「鶏が先か卵が先か」の問いに対する「おんどり」というジョークの答えを、主人公の人生そのものが体現していたのです。
自由意志は存在するのか?宿命論とアイデンティティの喪失
物語を通して、「宿命」という言葉が何度も登場します。登場人物たちは、運命に抗うことはできるのでしょうか?
- 「すべては宿命だったんだろう」: ジョンやバーテンダーのセリフが示すように、彼らは自身の人生が「定められたもの」であると認識しています。彼らの行動は、未来を変えるのではなく、むしろ過去を完成させ、未来へと繋ぐための役割を果たしているかのように描かれます。
- 時間局の目的: 犯罪を未然に防ぐことを任務とする時間局も、結局は歴史を「修正」するのではなく、「実現」させているに過ぎません。フィズルボマーの存在自体が、時間局を生み出し、エージェントを育成する要因となっているように、すべてが予定調和の中にあります。
- アイデンティティの喪失と形成: ジェーンは性転換によりジョンとなり、ジョンはバーテンダーとなり、バーテンダーはフィズルボマーとなる。肉体的、精神的な変化だけでなく、名前も役割も変わっていく中で、自己のアイデンティティは常に揺らぎ、再構築され続けます。彼らの「個」は、時間ループの中で常に流動的であり、深い孤独を深める要因となるのです。
【伏線回収】物語の巧みな仕掛け
この映画は、冒頭から終盤まで、緻密な伏線が張り巡らされています。そのいくつかを振り返り、作り手の巧妙な語り口を再確認しましょう。
- 冒頭の問い: バーテンダーがジョンに問いかけた
「お前の人生を壊した男を目の前に差し出してやると言ったら、お咎めなしだと分かっていたら、そいつを殺すか」
という問いは、最終的にジョン(バーテンダー)がフィズルボマー(年老いた自分)を殺すことで回収されます。それは復讐ではなく、ループを完結させる行為であり、自分の人生を創造し続けるための行為でした。
- 「未婚の母」の視点: ジョンが「未婚の母」として女性の告白話を書いていたのは、彼自身がかつてジェーンとして女性であった経験と、妊娠・出産を経験した過去があったから。バーテンダーがジョンのこの事実を詳細に知っていたことも、彼らが同一人物であることの伏線でした。
- 「鶏が先か卵が先か」のジョーク: 「おんどり」という答えは、彼らの自己言及的な存在、つまり「自分が自分の親」であるという真実を暗示しています。彼らの人生そのものが、このパラドックスを体現しているのです。
- バーテンダーの顔の傷とジョンの顔: バーテンダーが負った顔の傷は、未来でジョンが顔を再建手術するきっかけとなります。傷を負ったバーテンダーが、未来の自分(フィズルボマー)と対峙した時に「お前らゾンビはどこから来た」と問うシーンも、顔の傷と密接に繋がっています。
- ジッポライター: ジョンが過去で使っていたライターが、フィズルボマーが爆弾で使用していた時限装置の破片の中から発見されます。これはフィズルボマーの正体を示す決定的な証拠であり、観客に衝撃を与えるシーンです。
なぜ『プリデスティネーション』はSF映画の傑作なのか?
複雑なプロットでありながら、観る者を惹きつけ続ける『プリデスティネーション』。その魅力はどこにあるのでしょうか?
- 緻密な脚本と演出: ロバート・A・ハインラインの原作小説を見事に映像化。伏線の張り方、時系列の操作、そして衝撃的な真実の明かし方など、細部にわたるこだわりが光ります。観るたびに新たな発見がある、リピート鑑賞に耐えうる完成度です。
- サラ・スヌークの怪演: ジェーン、ジョン、そしてバーテンダーとフィズルボマーに至るまで、同一人物でありながら異なる性別、年齢、役割を演じ分けたサラ・スヌークの演技は圧巻の一言。彼女の演技なくして、この映画の成功はありえなかったでしょう。
- 哲学的な問いかけ: 時間SFというジャンルを超えて、人間存在の根源的な問い(アイデンティティ、宿命、自由意志、孤独、愛)を深く掘り下げています。観終わった後も、長く心に残るテーマ性があります。
あなたはこの映画を観て、何を感じましたか?ぜひコメントで教えてください!
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まとめ:『プリデスティネーション』は「始まりと終わりのない」傑作SF
『プリデスティネーション』は、観る者を深い思考へと誘う、稀有なSF映画です。ジョン、ジェーン、そしてバーテンダーとフィズルボマーが織りなす、自己言及的な「ウロボロス」の物語は、宿命と自由意志、アイデンティティの探求といった普遍的なテーマを私たちに投げかけます。
一度だけでなく、二度三度と観ることで、新たな発見と深い感動を与えてくれることでしょう。
ぜひU-NEXTで、この傑作SF映画を堪能し、あなたなりの考察を深めてみてください。
