【君の名は。】知られざる神話の秘密を徹底解説!隠されたメッセージが明かす物語の深淵

2016年に公開され、日本中に社会現象を巻き起こした新海誠監督の不朽の名作『君の名は。』。興行収入250億円を記録したこの大ヒット映画は、繊細なラブストーリーと息をのむほど美しい風景、そして心揺さぶる切ないドラマで多くの観客を魅了しました。

しかし、この感動的な物語の裏に、奥深い神話的な要素が隠されていたことをご存知でしょうか? 一見しただけでは捉えきれない、壮大な神話の世界が『君の名は。』には intricately 絡み合っているのです。

今回は、超大ヒット映画『君の名は。』の元ネタとなった神話的要素について、徹底的に解説していきます。この物語に秘められた神々の力を紐解き、作品をさらに深く楽しむための鍵を見つけましょう。

1. 物語の裏に謎の女神が?ミツハと滝の名前の由来

物語のヒロイン、宮水三葉は、山奥での生活に退屈している高校生です。実家は代々神職を営む宮水神社。東京での華やかな生活に憧れていた三葉の運命は、主人公の立花瀧と人格が入れ替わることで大きく動き出します。

実は、三葉という名前の元ネタになった女神が存在するのをご存知でしょうか? それは、日本神話における水の神である「ミヅハノメノカミ(水刃の目の神)」です。日本を代表する水神で、『古事記』では女神イザナミの尿から生まれたと語られています。女神イザナミが火の神カグツチを生んだ際の苦しみから失禁した結果、ミヅハノメノカミが誕生したとされています。

「三葉ちゃんの元ネタは……」と早とちりするのは禁物です。『君の名は。』には、神話の水の要素が多く取り込まれているのです。

ここからが特に重要ですが、このミヅハノメノカミは、「セオリツヒメ(瀬織津姫)」という謎多き神の別名だと解釈されることがあります。この瀬織津姫は、『古事記』や『日本書紀』には登場しないものの、水神、清めの神、海の神、さらに「滝の神」という性格を合わせ持ち、様々な神社に祀られている神です。

ここで注目したいのが「滝の神」の部分。そう、『君の名は。』の主人公の名前は立花瀧。主人公の瀧が滝の神である瀬織津姫、ヒロインの三葉が水神であるミヅハノメノカミと結びつけられていると考えると、同一視されることもある二柱の神に関係する二人の少年少女の人格が入れ替わるのも納得できますね。

また、瀧という名前と二人の運命には、百人一首の77番の歌との関連性も指摘されています。

背をはやみ 岩にせかるる 滝川の
割れても末に あはむとぞ思ふ

意味は「流れの速い川に岩があると、川は二手に分かれてしまう。ただ別れても、いずれ再び一つになるように、愛しいあの人ともいつか必ず会えるはずだ」というもの。まさに『君の名は。』の物語とリンクした歌ですね。

ちなみに、この瀬織津姫という神には謎が多く、一説にはアマテラスオオミカミの荒魂(あらみたま)、つまり荒々しい側面であると語られていたり、物部氏の祖とされるニギハヤヒノミコトとの関連性も指摘されています。

2. 宮水神社が祀る神は機織りの祖「一葉の神」タケハヅチノミコト

次に紹介するのは、ヒロイン三葉の実家である宮水神社です。この宮水神社については、『君の名は。』の作中に登場する宮水神社と、現実世界に実在する宮水神社の二通りに分けて話す必要があります。

まず作中に登場する宮水神社について。実は、作中の宮水神社は、祭神として「一葉の神」タケハヅチノミコトという神を祀っています。このやや下を噛みそうな名前の神は、別名アメノハヅチノオオカミとも呼ばれ、日本神話の真打ちアマテラスオオミカミを天の岩戸から誘い出すために「綾(あや)」を織ったとされています。そのため、一葉の神は機織りの祖として信仰されていて、人間に機織りを教えた神だともされています。

作中で三葉が組紐を組み上げる印象的なシーンがありますが、これも一葉の神が祭神であるからこそ、深く意味があるのですね。

また、一葉の神は、地上を平定する葦原中国平定(あしはらのなかつくにへいてい)という説話の中でも大きな事績を残しています。その説話によると、タケミカヅチという強力な神でも服従させられなかったホシノカガセオという神を、一葉の神は見事征服したと伝えられているのです。意外に武闘派な一面も持っているのですね。

そして現実世界の宮水神社ですが、こちらは宮崎県西臼杵郡に鎮座しています。『君の名は。』とは祭神が異なり、山の神であるオオヤマツミ、学問の神である天神、その他ツクヨミ、八幡大明神など、多くの神々が祀られています。映画公開当時にこの宮崎県の宮水神社が元ネタになったのではと話題になりましたが、内容的には直接的な関わりは見られません。気になる方は訪れてみてはいかがでしょうか。

3. 神に備わる原初の力「結び」の意味とは

次に紹介するのは、作中で三葉の祖母が語った「結び」という言葉の意味です。祖母いわく、

「土地の氏神さまをな、古い言葉で『結び』っていうんやさ。

糸を繋げることも『結び』。人をつなげることも『結び』。時間が流れることも『結び』。全部神様の力や」

このセリフ、多くの人が「なるほど」と思いつつ、なんとなく聞き流してしまいがちではないでしょうか? 実は日本神話の中では、「結び」と名のつく神が数多く存在するのです。

例えば、カミムスヒ、タカミムスヒ、ワクムスビなど。ちなみにワクムスビは、先ほどご紹介したミヅハノメノカミと同様、女神イザナミの尿から生まれたとされる神です。

さて、「結び」は元来「ムスヒ」と書き表しますが、これは日本古来の信仰である神道の重要な概念の一つです。漢字に当てはめると「産巣日」。「むす」という字は、それ自体が「生む」「産す」から派生した字であり、つまり「発生」を意味しています。日本の国歌でおなじみの「苔のむすまで」というフレーズ、すなわち「苔生す」というのは、苔が自然と発生してくる様を表しているわけです。

「ムスヒ」の「ヒ」には、心霊の神秘的な働きを意味する「霊(ひ)」という字が当てられています。合わせると「ムスヒ」は、心霊の力が自然と湧き上がってくる状態を指しているわけです。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、要は、このようにあるものすべて、天地及び万物を生成する働き、人間の成長も豊穣もまとめて「ゆらゆらと立ち現れる営み」を端的に表しているというわけです。もう超すごい概念ですね。

先ほどご紹介したカミムスヒとタカミムスヒの神は、もう一人アメノミナカヌシと合わせて「造化三神(ぞうかさんしん)」と呼ばれています。彼らは日本神話において天地開闢の際に真っ先に現れ、始まりの時を告げる原初の神です。また、タカミムスヒはアマテラスオオミカミを岩戸から引き出すにあたって大活躍し、一方のカミムスヒは有名な因幡の白ウサギの話で、スサノオの子孫であるオオナムチを蘇らせる働きをしています。こうした点からも、ムスヒの神は衰えていく魂を再び奮い立たせる力を持っていると考えられています。

他にも「ムスヒ」の名を持つ神は多く、女神イザナミが生んだ火の神カグツチは別名「オムスビ」とも呼びますし、こちらも先ほどご紹介したワクムスビも、豊穣を表す非常に重要な神の一柱です。古代の宗教と豊穣は強く結びついており、稲の収穫や生殖の持つ神秘的な力は、まさに「ムスヒ」のなせる業だと信じられていたのですね。ムスヒ、やっぱりすごい力です。

『君の名は。』では、神様の力を表す「ムスヒ」と、組紐の「結び」がかけられていることが、この祖母のセリフで表現されているというわけです。

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4. 人々を導く道具「糸」の神話的な意味

『君の名は。』の作中では、様々な小道具が登場し、物語を盛り上げてくれます。中でも印象深かったのは、やはり瀧を導いた組紐ではないでしょうか?

古より紐や糸は身近なものであると同時に、神話において重要な役割を担ってきました。国は違えどその発想に変わりはなく、ギリシア神話には人を導く有名な糸の伝承が残されています。簡単にご紹介しましょう。

神話の舞台はクレタ島にある迷宮ラビュリントス。半人半牛の怪物ミノタウロスを退治するため、英雄テセウスは迷宮の奥深くへと踏み込みます。ミノスの娘アリアドネは、愛するテセウスに糸玉を差し出し「これを使ってちゃんと帰ってきてね」と手助けします。糸を張りながら迷宮を進んだテセウスは、ミノタウロスを退治した後、無事に迷宮を脱出することができたのでした。まさに愛の糸ですね。

『君の名は。』の中でも、瀧は組紐に導かれるように聖地へとたどり着きました。まさに糸の神話的な象徴性を利用した展開です。

また、糸はこの世とあの世を結びつけるという役割も果たしています。こちらもギリシア神話ですが、運命の三女神モイライは、人間の運命を糸の長さと結びつけていました。三女神のうちクロートーが糸巻きで糸を紡ぎ、ラケシスがその長さを測り、アトロポスがそれを切ることで人間の寿命が決まるのです。誰もが太く長い人生でありたいと願うものですよね。

もちろん日本でも、糸や紐は神話的な働きを担っており、神社の境内で見られるしめ縄がその典型です。しめ縄は神聖な区域とそれ以外の外界とを区別する役割を果たし、より踏み込んだ言い方をすれば、神域を守護する結界であると考えられます。神話の中でもしめ縄は登場し、アマテラスが岩戸から出た後、誰も立ち入らないようにするため入り口に貼られたと伝えられています。これ以上引き込まれたら困りますもんね。

他にも、蛇のことを朽ちた縄に見立てて「くちなわ」と呼ぶ習慣も存在します。蛇は古来、最古の神ともいえる神聖な生き物でした。その蛇と喩えられるところに、昔の人々が持つ紐や糸への畏敬の念を感じ取れるのではないでしょうか。

5. 平安時代の性別入れ替わり元ネタの昔話「とりかへばや物語」

ここでは少し趣向を変えて、日本の昔話から紹介しましょう。実は『君の名は。』とある昔話の影響を強く受けており、本作を語るのにどうしても避けては通れないテーマなんです。

その昔話とは、平安時代に書かれた著者不明の『とりかへばや物語』。「とりかへばや」というのは「取り替えたいなぁ」という意味の、どこかのんびりとした印象の言葉です。

『とりかへばや物語』は、関白と左大臣の二人の子供の性別が入れ替えられるというお話です。左大臣の二人の子供のうち、一人は快活で男勝りな女の子、もう一人は内気で女性的な男の子でした。「逆だったらいいのに」と思った古代人は、男の子を姫君、女の子を若君として育てることにしました。かなり思い切った決断ですね。

若君の女の子は男装して宮廷に出向いて才覚を表し、姫君の男の子の方も女性として後宮にて出仕を始めました。順調な毎日……と思いきや、若君が右大臣の娘と結婚したところから綻びが生まれます。若君の妻は若君の親友と密通し、夫婦関係が崩壊してしまうのです。さらに女性であるという正体も見破られてしまった若君は、なんと妻の密通相手である親友と関係を持ち、その子供まで産んでしまうのです。かなりこんがらがったスキャンダルですね。

一方で、後宮に入った姫君の方は主君である女東宮に恋をして、最後は男性の姿に戻ります。結局二人とも本来の性を取り戻し、男の子は関白に、女の子は天皇の妃になるという大出世を果たすのでした。めでたしめでたし。

時代を先取りしたトランスジェンダーの物語とも解釈できるこのお話。新海誠監督が影響を受けたと述べていることからも分かるように、人格転移がテーマの一つである『君の名は。』との類似性が強く見られます。『君の名は。』に限らず、こうした異性変身譚は現代の様々な作品にも受け継がれています。今後はさらに『君の名は。』を古典とした新たな異性変身譚が登場するのを楽しみに待ちたいところですね。

6. ちょっときわどい?神秘が宿る口噛み酒の力

お次は作中の宮水神社の祭事である「口噛み酒」について解説していきましょう。作中で三葉が一度口に含んだ米を戻すシーンは非常に印象的でしたし、それをためらわずに飲む瀧もなかなかでした。

科学的な話をすると、植物中のデンプンを唾液のアミラーゼで糖化させ、野生酵母によって発酵させるというプロセスからアルコールを生成するのが口噛み酒の製法です。こういった製法は日本以外の国でも見られ、アフリカや中南米といった国々でも伝統的に作られてきました。日本の場合、宗教的な色合いが強く、噛むものには巫女などの女性が特に選ばれていたようです。

祭事とはいえ、現代人の感覚からするとちょっと際どいかもしれませんね。実は日本神話の中にも口噛み酒に関連したエピソードはあり、最も有名なものはアマテラスとスサノオの「誓約(うけい)」のシーンです。

簡単に要約すると、喧嘩中の兄弟である二人の神同士のうち、弟のスサノオの方が身の潔白を証明するために占いをしようと言い出しました。その際、姉アマテラスは弟が持っていた剣を折って神々とそれらを吐き出してみせます。するとそこから、タギリヒメ、イチキシマヒメ、タギツヒメという三柱の女神が生まれました。この神々は宗像三女神(むなかたさんじょしん)と呼ばれる女神たちで、交通安全や金運などを司るとされていますが、時に酒の神としても語られることがあります。

対するスサノオは、アマテラスの装飾品を噛み砕き、稲穂の神であるアメノオシホミミを始めとした五柱の男神を生みます。「噛んだものから神が生まれるってどういうこと?」と思われるかもしれませんが、稲穂は酒の原料となる穀物なので、アマテラスとスサノオは各々で酒にまつわる神を「噛む」という行為によって生んだということになります。ここから口噛み酒の神話に与えた影響が読み取れますね。

他にもお酒に関連したエピソードで言うと、スサノオがヤマタノオロチを退治する際に「ヤシオリの酒」という強い酒を利用した逸話は有名です。また『播磨国風土記』の中にも、道主の姫の命(みちぬしのひめのみこと)という女神が、父親が分からないまま子を産み、酒を用いて誰が父親か占ったという説話が残っています。

日本では古来より、神に捧げられる酒を「おみき」といい、酒造りの神としてオオモノヌシやスクナビコナといった有名な神が祀られています。現代ではお酒は手軽に手に入るものではありますが、神話的な起源を見ると、古代人の酒に対する畏敬の念が伺い知れます。『君の名は。』の中で口噛み酒が非常に重要な役目を果たしたのも頷ける話ですね。

7. 物語を動かす彗星の名神の母にして竜「ティアマト」

次に紹介するのは、『君の名は。』における架空の彗星である「ティアマト彗星」についてです。1200年という周期で地球のそばを通過するとされ、作中では10月4日に最接近し、地球と月の間を通り抜けます。

この彗星の元ネタですが、「ティアマト」という名は古代バビロニア神話に登場する女神に由来しています。神々の母にして竜、そして原初の海でもある水神ティアマト。この女神は古代バビロニアの創世叙事詩『エヌマ・エリシュ』に登場し、淡水の神アプスーと交わることで、神々の王となる天空神アヌや知恵の神エンキなど、たくさんの神々を生み落としました。

しかし、無計画すぎたのでしょうか? 神々が増えてくると途端に世界は騒がしくなり、我慢ならなくなった夫アプスーは神々を殺してしまおうと画策します。なんたる自分勝手な行動でしょうか。この暴力はたちまち神々の間で知られるようになり、知恵の神エアは先んじてアプスーを殺すことに成功します。その後、エアは女神ダムキナとの間にマルドゥク神を設けます。マルドゥクは通常の2倍の力を持ち、4つの目と耳、火を吹く口、輝く体を持った強力な神です。

夫アプスーを殺されたティアマトは神々への復讐戦を行いますが、これを迎え撃ったのが武闘派のマルドゥク神。天空神アヌから授かった4つの風を使ってティアマトを撃退し、原初の神殺しを達成するのです。さらにマルドゥクはティアマトの死体を2つに引き裂き、天地や星々などを創造したと伝えられています。実の祖母相手に容赦がないですね。

では、作中で重要な働きをする彗星に、なぜティアマトの名がついているのでしょうか? 一つは、2つに引き裂かれ世界が創造されたという点。作中でもティアマト彗星が2つに分裂してしまったことで、糸守町は隕石に巻き込まれてしまいます。作中の重要なキーワードの一つ「片割れ」とも関係していますね。

もう一つは、ティアマトが海の女神であるという点。『君の名は。』は水にまつわる神や神話が多く含まれています。その点ではティアマトはまさにふさわしい名前だと思います。ちなみに、かつて火星と木星の間に第5惑星ティアマトが存在したというぶっ飛んだ話の影響を受けているという説もありますが、おそらく場を盛り上げるための話でしょう。

8. 奇跡を呼ぶ川が象徴する異界への旅路

もう少し日本神話に踏み込んで、『君の名は。』の魅力に迫ってみましょう。次に紹介するのは、主人公の瀧がクレーターにある御神体へと赴く際に小川を渡るシーンです。三葉の死を覆すため、瀧が奮闘する場面ですが、この時、川を渡るという行為自体が非常に神話的であると言えます。

川は神話的には、生活空間とそれ以外を区切る境界の役目を果たします。此岸(この世)と彼岸(あの世)を分ける三途の川もその一つですね。つまり『君の名は。』で瀧は小川を渡ることで、境界の向こう、すなわち異界へと向かっていくのだと解釈できます。

実は人の死を覆すために異界へと赴くという構図は、洋の東西を問わず神話には馴染みのあるパターンと言えます。日本神話の場合、大神イザナギの「黄泉の国巡り」が該当します。

女神イザナミは、火の神ヒノカグツチを生んだことで大火傷を負って死んでしまいます。夫のイザナギは怒り狂い、十束剣(とつかのつるぎ)でヒノカグツチを切り殺した上、愛する妻を連れ戻そうと自ら冥界である黄泉の国へと向かっていくのです。ある種自暴自棄な行動ですね。

黄泉の国で亡き妻を見つけたイザナギは「戻ってきてはくれないか」と頼み、イザナミの方も黄泉の国の神々に相談してみるので「戻るまでは絶対に門を開けないでください」と答えます。しかし、古来、しょうがないのは男の性分。イザナギは待ちきれずに扉を開けてしまい、そこで亡者と化した見にくい妻の姿を目の当たりにするのです。「だから言ったのに!」とイザナミは当然激怒します。

逃げ出した夫イザナギを殺そうと次々に恐ろしい黄泉醜女(よもつしこめ)を差し向けました。イザナギはどうにか黄泉と現世の境界である黄泉比良坂(よもつひらさか)まで逃げ、そこでかつて愛した妻イザナミと日本最古の離婚をします。

こうした冥界下りの神話は世界各地に存在しており、最古の文明が起こったメソポタミアにおいても、イシュタルの冥界下りという伝承が残されています。イザナギとイザナミの場合は結局物別れに終わりましたが、『君の名は。』では無事瀧が三葉を救い出すことに成功しました。まさに愛の力ですね。

9. 2人が再会を果たした聖地「菅神社」

ラストシーンに移る菅神社。最後に『君の名は。』の終盤のシーンに注目して解説を終えることにしましょう。

物語から数年後、瀧と三葉が互いを探しながら街をさまよう場面があります。そして、映画のキービジュアルにもなっている階段で、二人は念願の再会を果たすのです。感動的なシーンでしたね。

その現場は、東京都新宿区四谷に実在する東京四谷総鎮守「須賀神社」の階段です。ちなみに最寄り駅はJR中央線快速・総武線各駅停車の四ツ谷駅、地下鉄では丸の内線四谷三丁目駅となっています。

須賀神社では、スサノオノミコトやウカノミタマノミコトを始めとして、様々な神が祀られています。主祭神であるスサノオが京都の祇園社の祭神である牛頭天王(ごずてんのう)と集合していたことから、かつては四谷牛頭天王社、稲荷山宝蔵院天王社などとも呼ばれていました。

当時の境内には、不動明王や秋葉権現、金毘羅コメントいった神仏をはじめとし、徳々神などの陰陽道の神まで祀られていたと記録されています。まさに神様のテーマパークですね。

明治維新後の神仏分離令により現在の形に落ち着きましたが、今でも天王坂、天王横丁などの地名は残っており、当時の名残を感じさせてくれます。また、この「須賀神社」という名前も、主祭神であるスサノオの伝説に由来しています。

ヤマタノオロチの討伐後、クシナダヒメを妻とした後、出雲の地で趣「清々しい」と感じる土地を発見したことから、「須賀(すが)」という名をつけて宮を築いたと伝えられています。まさかのダジャレですね。その宮では、スサノオとクシナダヒメが結婚生活を送りました。そう考えると、二人の男女が運命的な再会を果たす場所にふさわしいですね。

さらに詳しく作中に出てきた現場について調べてみると、三葉が駆け上った坂は「男坂」、瀧が通った別れ道は「本丸坂」、どちらも須賀神社のすぐ近くです。映画公開当初は聖地としてファンでごった返していましたが、ブームが落ち着いた今こそ、改めて『君の名は。』の現場を訪れてみてはいかがでしょうか。

10. 色褪せない傑作!現代に受け継がれた神話の力

日本中に一大旋風を巻き起こした傑作映画『君の名は。』を深掘りしてみると、世界中の神話で彩られていました。SF青春ラブストーリーの側面ばかりが注目されがちな本作ですが、神話を紐解いていくと、いかに良く練られた設定であったか、その緻密さに感心してしまいますよね。だからこそ、ここまで多くの人々を惹きつけたのではないでしょうか。

新海誠監督の創り出す名作の裏には、神話伝承のモチーフが隠されていることが少なくありません。今回の解説で、あなたも『君の名は。』を新たな視点で見直したくなったのではないでしょうか。

ぜひ、今回ご紹介した神話的要素を意識しながら、もう一度『君の名は。』を鑑賞してみてください。きっと、新たな発見と感動が待っていますよ。

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